副作用・有害事象
口腔粘膜炎への対処法
抗がん薬による口内炎は、①抗がん薬による直接作用、②白血球減少に伴う口腔内の局所感染によっておこります。
口内炎の発生時期は、抗がん薬投与後2~10日のことが多く、白血球の回復とともに症状は軽減しますが、治るまでには2~3週間かかることがあります。
1)特に口内炎が起こりやすい治療
・大量の抗がん薬を使う治療、全身放射線照射(造血幹細胞移植前)
・頭頚部がん、食道がんでの放射線と抗がん薬治療との併用
※口内炎を起こしやすい抗がん薬治療の具体例は、スタッフにお尋ね下さい。
2)口内炎の症状
・ 口の中の痛み、口の粘膜が赤い、はれぼったい
・ ただれ、潰瘍、出血
3)口内炎の予防方法
・口内炎に対する治療はまだ確立されていません。
・口内炎は治りにくいため、予防(「清潔」と「保湿」)が大切です。
- 清潔
<歯磨き>
・口腔ケアの基本です。1日3回行いましょう。
・歯と歯肉の境目に歯ブラシの毛先を軽く当て、小刻みに動かして粘膜を傷つけないように磨きましょう。
- 歯ブラシ
- ・ストレートの毛先で、「やわらかめ」や「軟毛」のナイロン製がお勧めです。
- ・口内炎が悪化したときには「超軟毛」歯ブラシに変更します。
- ・痛みが強く歯ブラシが使えない場合は、スポンジブラシが良いでしょう。
- 歯磨き剤
- ・歯磨き剤に含まれている泡立ち成分は、口腔粘膜を刺激します。
- ・口内炎ができてしまったら、ブラッシングだけでも有効です。
- <舌のケア>
- ・舌苔がある場合は、舌ブラシまたはスポンジブラシで舌の奥から前方へ軽い力で動かし、掻き出すようにして除去しましょう。必ず1方向で行って下さい。
- <歯科受診>
- ・治療前に歯科を受診しておきましょう。感染の原因となる虫歯や歯周病の治療、義歯の調整、歯垢除去を行います。
- ・治療中に受診する場合は主治医の許可を得てから受診してください。
- ● 保湿
- <うがい>
- 化学療法治療中は、抗がん薬の副作用や合併症などで口の中が乾燥します。
こうなると口内炎による痛みも悪化するため、口腔内の保湿が重要です。 - 保湿の方法
- ・刺激の少ないものを選びます
- (例)生理食塩水・医師の処方したうがい薬・市販の保湿剤
- ・最低1日3回、できれば8回(2時間ごと)行いましょう。
- <生理食塩水の作り方、使い方>
- ・水道水500 mlに食塩4.5 g(小さじ一杯が目安)の割合でペットボトルに作り置きし、1日で使い切ります。
- ・使用時は必ずコップを使用し、30秒ブクブク・ガラガラうがいをします。
- <口腔内冷却>
- ・点滴中に氷片で口腔内を冷やすと、口内炎発症抑制効果があります。
- ・この方法が推奨されている治療法については、看護師にお尋ねください。
4)口内炎の治療
- 口内炎ができたら、痛みなどの症状改善と悪化させないよう粘膜の保護に努めます。
- ・食事の工夫(柔らかく、刺激の少ない食品)
- ・口腔内ケア
- 継続して口腔内の清潔は保つようにしてください。
消炎、組織修復作用のあるアズノール含嗽薬などがおすすめです。
その他:デスパ、アフタッチ、アロプリノール(一部の抗がん薬に有効)
- ・局所麻酔入りの含嗽薬や塗布剤痛みが強い場合に使用します。
医師、看護師にご相談ください。