副作用・有害事象
味覚障害・食欲への対処法
1)原因
味覚は舌にある「味蕾(みらい)細胞」の働きにより感じています。抗がん薬を使用により味蕾細胞が傷ついて機能が失われ、本来の味がわからなくなります。
また、唾液の分泌低下による口の中の乾燥や、慢性的な食事摂取不足による亜鉛欠乏、心理的緊張、不安でも味覚障害がおこります。
2)味覚障害の予防と対処
- ①味蕾細胞の感受性を高める
・口腔内を清潔に保つ:食前後のうがい
食後の歯磨き
舌のブラッシング
・料理の工夫:香り、ダシ、香辛料を活かした食事にする。
- ②唾液の分泌を促す
・レモン水や炭酸水でうがいをする。
・水、フレッシュジュースを頻回に口に含んでみる。
・人口唾液を使用して口腔内を湿らせる。
・酢の物や酸味食品を利用する。
・口腔粘膜を傷つけないシュガーレスガム、キャンディを口に含む。
- ③ 味蕾細胞の新陳代謝を促すために、亜鉛の豊富な食材を取り入れる
亜鉛が多く含まれる食品
抹茶、緑茶煎茶(一番茶)、牡蠣、かずのこ、玄米茶、ココア、イワシ、
みりん干し、煮干し、タラバガニ、サザエ、あまのり、あさくさのり、
きなこ、赤色辛味噌、カシューナッツ、アーモンド、イリゴマ
④ 日常生活での工夫
・食卓や食器、盛り付けを変え、目で楽しむ。
・楽しい雰囲気で食べられるような環境作りをしてみる。
3)味覚障害時の食事対策
- ①塩味、醤油味などが苦く感じたり、金属のような味がする場合
・塩や醤油は控える(みそ味は苦く感じない人もいるようです)。
・アク抜き・臭み抜き等を行う。
・いろいろな味付けを試して、自分に合う味を探してみる。
(ダシを利かせたり、ゴマなどの香り、酢などを使用する。)
- ②何を食べても甘く感じる場合
・砂糖やみりんは料理に使用しない。
(人工甘味料が入っているものを控える。)
・塩、醤油、みそなどで、少し濃いめの味付けにしてみる。
・芋などの自然な食べ物の甘みを楽しむ。
・酢、レモンやゆずなどの酸味を利用する。
- ③食べ物の味が感じにくい場合
・甘味、酸味、塩味など味付けをはっきりさせる。
(ねぎ・大葉などの薬味、カレー粉や七味などの香辛料を適度に利用する。)
・ナッツやクルトンなどを料理に入れて食感を楽しむ。
・だしの旨みを利用し、味に深みを出す。
・食事は冷ましてから食べるようにする。
- ④何を食べても苦く感じる場合
・あめやキャラメル、ガムなどで口直しする。
・野菜のうまみを利かせた汁ものを試す。
・のど越しのよい豆腐や茶碗蒸しなどは食べやすい。
・水分摂取をこまめに行う。