今週の腫瘍内科
今週の腫瘍内科(7/20-7/26)
更新日:2026/07/27
今週の腫瘍内科(2026年7月第4週/7月20日〜26日)
群馬大学医学部附属病院 腫瘍内科
腫瘍内科に関心のある医学生・研修医の方へ。当科の一週間の活動と、がん薬物療法をめぐる世の中の動き(論文・学会・制度)を、毎週まとめてお伝えします。今週は、胃がんの領域で新しく使えるようになった薬を中心にご紹介します。
──────────────────────────────
■ 今週の当科から
・消化器がんの化学療法カンファレンス
消化管領域・肝胆膵領域について、続けて治療方針を検討する定例のカンファレンスを行いました。医師が持ち寄った相談を、多職種で一つずつ確認していきます。
学びどころ:一人で抱え込まず、チームで治療方針を練り上げていくのが腫瘍内科の日常です。
・がんゲノム医療のエキスパートパネル
がん遺伝子パネル検査の結果を、複数の専門家・複数の施設で持ち寄って議論する会議に参加しました。検査結果をどう治療に結びつけるかを、多角的に検討します。
学びどころ:ゲノム医療は「検査して終わり」ではなく、結果を治療推奨へ翻訳する議論までがひとつづきです。
・免疫療法をテーマにしたWebシンポジウム
免疫チェックポイント阻害薬の使い方や副作用(免疫関連有害事象)への対応をテーマにしたオンラインの勉強会で研鑽しました。
学びどころ:効果と同じくらい「副作用をどう見つけ、どう対応するか」を学ぶのが免疫療法の要です。
・医学生が全国規模の腫瘍内科セミナーに参加
当科に関わる医学生が、全国から医学生・研修医が集う腫瘍内科のセミナーに参加し、グループでの発表で高い評価を受けたとの報告がありました。
学びどころ:こうしたセミナーは、腫瘍内科を志す仲間と出会い、視野を広げる学びの場になります。
※ 個々の患者さん・症例に関する情報は含みません。当科の活動を一般化してご紹介しています。
──────────────────────────────
■ 今週の腫瘍内科ニュース
・テビムブラ(チスレリズマブ)〔製造販売承認(適応拡大)〕
対象:治癒切除不能な進行・再発の胃がん/2026年6月19日 承認(一部変更承認)。抗PD-1抗体を化学療法に併用する一次治療の選択肢が加わりました。
学びどころ:胃がんの一次治療でも免疫療法の位置づけが広がっています。根拠となった試験は「今週の一報」で紹介します。
出典:ビーワン・メディシンズ プレスリリース(2026年6月30日/胃癌に関する適応追加の承認取得)
──────────────────────────────
■ 今週の一報(注目論文)〔消化器がん・免疫療法〕
進行胃がんの一次治療にチスレリズマブを化学療法へ上乗せ ― RATIONALE-305試験
BMJ 2024;385:e078876/第Ⅲ相・国際共同・二重盲検・プラセボ対照ランダム化比較試験(HER2陰性の進行・再発 胃/食道胃接合部腺がん、一次治療)
・上のニュースで紹介したテビムブラ(チスレリズマブ)の胃がん適応拡大を支えた主要試験です。
・全生存期間の中央値は、併用群15.0か月 対 化学療法単独群12.9か月〔論文報告値〕(ハザード比0.80、95%信頼区間0.70–0.92、P=0.001)。24か月生存率は33%対23%でした。
・PD-L1発現が高い集団でより大きな上乗せが報告されており、バイオマーカーで効きやすさを見極める流れとも重なります。
臨床的意義:胃がんは日本で患者数の多いがんです。一次治療での免疫療法の使いどころが、また一つ具体的な形になりました。
出典(PubMed 収載/PMID: 38806195):DOI: 10.1136/bmj-2023-078876 (Qiu MZ, et al. BMJ 2024)
──────────────────────────────
■ 学会・セミナー/行事
腫瘍内科説明会(懇親会を兼ねて)
腫瘍内科の仕事や進路について、当科のスタッフと少人数で話せる会です。食事をしながら、気軽に質問・相談ができます。
・対象:医学生・初期研修医・腫瘍内科に関心のある方
・日時:2026年7月30日(木)18:30〜
・会場:ワインビストロ Le vin(前橋市城東町1-1-1 シティテラス広瀬川1F)
・会費:無料
・主催・申込:群馬大学腫瘍内科(事前申込制)。申込期間は終了していますが、当日参加・個別のご相談を希望の方は当科までお問い合わせください。
学びどころ:現場の雰囲気を知り、進路の相談ができる場です。まずは気軽に足を運んでみてください。
JSMO 老年腫瘍学ワークショップ(Basicコース)
高齢者のがん治療の基本と、高齢者機能評価などを学ぶ1日コース。前半の講義のみの聴講も可能です。
・内容:老年腫瘍学の基本・高齢者機能評価の講義/後半は少人数グループワーク(希望者70名)
・日時:2026年8月8日(土)
・会場:WEB開催(Zoomウェビナー)
・主催:日本臨床腫瘍学会(JSMO)教育委員会 老年腫瘍学ワーキンググループ
・対象:がん治療に関わる医療従事者(JSMO会員・非会員を問わず)/参加費無料・要事前登録
・申込:2026年7月29日(水)17:00まで(応募多数の場合は期日前に締切の可能性)
開催概要ページ https://www.google.com/url?q=https://www.jsmo.or.jp/event/geriatric-oncology-workshop-2026/&source=gmail&ust=1785190740088000&sa=E
学びどころ:高齢の患者さんをどう評価し、治療の強さをどう決めるか。実地でも研究でも重要になるテーマです。
──────────────────────────────
■ ひとことコラム ― PD-L1とは
今週の一報に出てきた「PD-L1」は、がん細胞などの表面にあるタンパク質で、免疫の攻撃にブレーキをかける役割をもちます。免疫チェックポイント阻害薬は、このブレーキを外して免疫ががんを攻撃できるようにする薬です。PD-L1がどれくらい出ているかを調べると、免疫療法が効きやすい患者さんをある程度見分けられることがあり、胃がんでも治療選択の手がかりに使われています。「効く人に、効く薬を届ける」ための目印を探す――精密医療の考え方が、日々の治療選択にも入り込んでいる一例です。
──────────────────────────────
群馬大学医学部附属病院 腫瘍内科/2026-07-27 作成
※ 掲載内容・出典は作成時点の情報に基づきます。


